こんにちは。伊川(@naonaoke)です。
前回は、上の記事で、渡辺棋聖が、藤井7段に、勝った将棋を紹介しました。
正直、渡辺棋聖の3連勝を期待していました。
渡辺棋聖の初タイトル戦は、羽生9段との王座戦です。
当時の羽生王座に、2連勝するのですが、3連敗で、羽生王座がタイトル防衛を果たします。
しかし、今回は、違いました。
藤井7段が、逆転勝利で、棋聖奪取しました。
では、棋譜を紹介したいと思います。
終始、藤井7段が有利な対局だったようです。
急戦矢倉は、非常に激しい将棋になります。
先手の攻めを受けきるには、なかなか大変です。
一手間違えると、攻めつぶされて、非常に悔しい思いをします。
藤井7段が、どのように、カウンターパンチを放つのかが、勝負の見どころです。
藤井7段は、2四金とかわします。
2五金は、1四桂馬と跳ねて、金と角の両取が決まります。
しかし、形勢は、この時点で、+3です。
藤井7段の反撃の狼煙が来ました。
よく、こんな一手を思いつくなと思います。
しかし、渡辺棋聖の、9六歩が微妙に効いていて、土俵をわらない形になっています。
多分、渡辺棋聖の研究の一手です。
しかし、渡辺棋聖が、ヒラリとかわします。
8五歩が、歩を下げる手筋です。
8五飛車と歩を取らせて、8三歩と守ります。
そうすると、後手は、8四桂馬と跳ねることができず、9五歩で、カウンターの桂馬が取られてしまいます。
この時点で、渡辺棋聖が、+337です。
結局、6八金が最善手のようです。
実践も、渡辺棋聖は、6八金と指します。
7七金は、7三桂馬の射程圏内に入り、金が危ういです。
8三金は、8五飛車と飛車が走り、金が浮駒になり、金が取られる展開になります。
しかし、のちの展開を見れば、7九金だったのかと思います。
AmebaTVで、久保九段も候補手に挙げていました。
2六金に、同飛車と金を取り返しても、3四桂馬で銀と、飛車の両取が決まります。
飛車を渡すと、8四桂馬が効いていて、右辺から、飛車を打たれると、ほぼ負けが確定です。
渡辺棋聖も、8四の桂馬を外しますが、取れるはずの金が3六まで進出しています。
しかも、銀取です。
8九の桂馬を逃げても、8九と金が怖い、怖すぎます。
しかも、8八と金と引かれたら、もう終わりです。
なんと、絶妙な一手なのでしょうか?
しかも、大駒を使わず、あの渡辺棋聖(三冠)を歩と桂馬で追い詰めています。
恐るべし、藤井7段です。
後手玉も薄いのですが、2一の桂馬が捌けていて、2一への逃走ルートが確保されています。
馬ではどうも捕まりそうにありません。
六五桂馬と合わせます。
この時点で、渡辺棋聖が、+430点です。
飛車を後手に渡すと、7九飛車で一手詰です。
飛車をどう逃げても、取られそうです。
玉を守るはずの金と、敵を攻める飛車が、渡辺棋聖の玉の逃走を邪魔しています。
しかも、藤井7段は、飛車は逃げずに、8四桂馬です。
藤井7段の飛車をとっても、次に、4七桂馬が厳しすぎます。
飛車か金を渡すと、7九金で、終わりです。
たまらず、4二歩と受けますが・・・・・・・
取られるはずの飛車が大転換して、4筋を睨んできました。
勝ち将棋、鬼の如しです。
藤井7段は、金を持っていれば、渡辺棋聖を負かすことができます。
7九金と、5九金の詰めろが受かりません。
必至です。
藤井7段のすべても駒が働いています。
さすがの渡辺棋聖も投了するしかありません。
史上最年少のタイトルフォルダーが誕生した瞬間です。
Elmoの解析では、渡辺棋聖の最善手の一致率が、わずか4%劣りました。
たった4%ですが、その4%が明暗を分けました。
渡辺棋聖の逆転負けは、あまり見たことがありません。
しかし、藤井7段は強い。
全盛期の羽生九段を思い出します。
羽生九段は、いわゆる、羽生マジックがありましたが、藤井7段は、違います。
冷酷に、最善手を指しています。
渡辺棋聖も、細い攻めをつなげる名棋士です。
大山康晴第十五世名人を彷彿させるほどの、受けが上手く、攻め筋が鋭いです。
藤井九段は、おそらく、5年で、A級リーグに昇級するでしょう。
その時の名人とも名勝負を繰り広げてくれるでしょう。
今回は、屋敷9段の記録を塗り替えましたが、谷川九段の最年少名人の記録が塗り替えられる日も近いのかもしれません。
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