
「怪物君の空に響く、世界の鉄の女たち──サッチャーから令和まで」
現代で活躍している「鉄の女」たちは、もはや例外ではなく世界のリーダーとなっています。たとえば──
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- メキシコ:クラウディア・シェインバウム(初の女性大統領)
- イタリア:ジョルジャ・メローニ(保守系・初の女性首相)
- フィンランド:サンナ・マリン(世界最年少クラスの首相)
- エストニア:カヤ・カラス(EU外交上級代表に指名)
目次
鉄の女たちの系譜 〜サッチャー、西太后、そして怪物君の空〜
♪ Sister iron can't go far
This is all I want to say...
これはサザンオールスターズ『怪物君の空』の一節。
「鉄のシスターはもう通用しないぜ。それだけが俺の言いたいこと」って感じだ。
このフレーズ、ずっと引っかかってたんですよ。
“Sister Iron”って、一体誰のことなんだろうって。
で、ふと思ったわけです。
これ、サッチャーじゃない?
ちなみに、“Sister Iron”といえば思い出されるのが──
1982年のフォークランド紛争。
サッチャー政権は、地球の裏側レベルにある小さな島・フォークランド諸島をめぐって、アルゼンチンと武力衝突。
強硬派の彼女は海軍を出動させ、島を奪還。これが“鉄の女”サッチャーの異名を世界に知らしめた。
……だからこそ。
サザンの歌詞「Sister iron can't go far」は、単なる比喩じゃなく、“政治的な限界”を皮肉った一節なのかもしれない。
実際に、怪物君の空には、最新の兵器を利用している下りがたくさんある。
冷戦下で近代化された西側諸国の軍隊同士による初めての紛争であり、「兵器の実験場」とも称された。
つまり「女だろうが鉄だろうが、戦争で遠くまで行けるわけじゃない」──そんな、風刺の匂い。
あのイギリスの“鉄の女”ことマーガレット・サッチャー。
男社会の政治の中で、容赦なく立ち回ったあのカリスマ首相。
ただ…それだけじゃない。
実はこの「鉄の女」という言葉、もっと深く掘り下げると
なんとも皮肉で、ちょっと怖くて、でもカッコいい“女たち”の物語が見えてくるんです。
サッチャーが切り拓いた道
1979年、イギリス。
世界がオイルショックや冷戦に揺れる中で、
男性社会ど真ん中の政治の舞台に、
革靴じゃなくパンプスで踏み込んできた女性がいた。
そう、サッチャー。
鉄の信念、冷徹な決断力、容赦ない財政引き締め。
それまでの政治家とは一線を画すリーダー像。
敵も味方も、彼女を“鉄の女”と呼んだ。
でも、その強さがあったからこそ、
その後の「女性リーダー」たちは存在できたのかもしれない。
現代の“アイアン・シスター”たち
2024〜2025年。
世界では女性が国家のトップに就くケースが確実に増えている。
彼女たちは、もう「女なのにすごい」ではなく、
「ふつうにすごい」レベルの存在感を放っている。
ただ、彼女たちの背後には、
サッチャーという原点がある──そんな感じがする。
ウクライナの戦争がなければ、この女性リーダーを知ることはありませんでした。
そして、時代を超えて現れる“真の怪物”──西太后
…ところで「鉄の女」といえば、もう一人忘れちゃいけない。
西太后(せいたいごう)。
19世紀の中国・清王朝。
皇帝の母として、国を牛耳り、権力を掌握し、
時には毒を盛り、時には金を巻き上げ、時には美顔術に熱中した。
彼女は皇帝を傀儡にし、国家をほぼ単独で操った。
それでいて表向きは「母」のまま。
この人は、わかりやすく言うと
映画 ラストエンペラーのお母さんです。彼女が西太后です。
その前に西太后 という映画もありました。
自分の息子(ラストエンペラー)を即位させるために、非常な手段を使ったことが有名です。
この内容は、今では、地上波で放送はできないでしょう。
まさに、“裏ボス of 鉄の女”。
サッチャーが“政治の中で戦った鉄の女”なら、
西太后は“政治そのものを私物化した鉄の女”。
もはやサッチャーがバイオ4のゾンビになったら、
きっと西太后みたいになる──そんな妄想もしてしまう。
中世ヨーロッパの拷問器具。名前は「鉄の処女」とも訳され、サッチャー首相のニックネーム「Iron Lady」とも微妙にかぶる…
つまり、「鉄の女」がゾンビになると、「鉄の処女(Iron Maiden)」になる──
という超ブラックユーモア、あり得なくもないメタファーです
女が権力を持つと、なぜ怪物扱いされるのか?
ここでサザンの歌詞が、また胸に刺さる。
Sister iron can’t go far.
女が強くなると、疎まれる。
リーダーになれば「怖い」「冷たい」「女らしくない」なんて言われる。
それは現代でも、変わらない。
日本では、女性の警察幹部の割合はわずか3.7%(警視以上)。
女性首相は、いまだゼロ。
「女性活躍」って言葉が踊っても、
現実はサッチャーより前を歩くどころか、まだ入口にも立ててないのかもしれない。
それでも、彼女たちは未来を変える
鉄の女たちは、時に批判され、
時に恐れられ、時に怪物扱いされる。
でも、それでも。
国家を背負い、国民を率い、
未来に“これが当たり前だ”という姿を残していく。
きっとサッチャーも、
西太后も、クラウディアも、メローニも、
その手に“時代”というハンドバッグを握っていたのだ。
だから僕らは今、彼女たちを笑い、揶揄し、そして…ちょっとだけ憧れる。
空を見上げれば、今日も怪物君がひとり、
「This is all I want to say」とつぶやいている。