「朝里峠の“幽霊音楽団”が話題に!演奏で命を守る心霊スポット」
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朝里峠の幽霊音楽団

この峠を見てほしい。旧朝里峠だ。


F1のサーキットにも、こんな急カーブはない。
それなのに、ここには“走り屋”が来る。
スピードを出し、カーブを曲がり切れず、事故は後を絶たない。

だからだ。
この峠には、昔から怪談が多い。

そんな場所に――カスミは“派遣”された。

峠担当のカスミ

ある中学校で、音楽室担当の幽霊をしていたカスミ。不慮の事故で亡くなってから3年間、ピアノを弾き続けていた。

そんなある夜、カスミは「ねこふんじゃった」を奏でてしまう――。

🎹 意外と知らない「ねこふんじゃった」の難しさ

閻魔大王の辞令

お前、なんでねこふんじゃったを弾くの?お前の神経が分からん。
わしら、幽霊やで? 笑かして、どないすんねん。
あの中学校は、もう心霊スポットとしては終わりや。
新規開拓も、最近は、きついねん。

でもねこふんじゃったは、意外と難しい曲で、私は、頑張って

もうええわ。理屈は。

辞令や。

明日から、朝里峠担当な。

「10人驚かせたら、ピアノ室に戻したる」

朝里峠の現実

職能がいない幽霊は、峠・山担当になる。
富士の樹海でもないかぎり、誰も来ない。

だから、峠・山担当の幽霊は、苛立っている。
人間も不用意に近づくと、とんでもない事になる。霊力ではない。単純に苛立っているんだ。

朝里峠にたたずむカスミ

風が吹いている。

朝里峠は、冬場は、通行禁止だ。

今は8月。もう時間がない。通行禁止になったら、雪が解けるまでは、誰もこない。

夜中に通る車はせいぜいが、30台くらいだ。

WiFiもつながらない。

カスミの同僚(幽霊)から、朝里峠には、赤い車が、カーブで消えるといううわさがあり、その赤い車を見ると、必ず事故るという怪談がある。

手がかりは、そこか・・・・・・

赤い車の怪談と山田との出会い

幽霊が、驚くな。ボケ。お前誰やねん。

峠担当になった、カスミです。

あなたは?

朝里峠担当の、山田や。20年、ここの担当や。

じゃ、赤い車の怪談知ってる?

それ、ワシやな。

じゃ、赤い車をカーブ寸前で消して、事故らせているですか?

なんの話や。もしかして、そんな噂なってんの?

赤い車は、死を呼ぶ車とか・・・・・・・・

なに言うてんねん。

注意喚起や。速度の速い車の前に現れて、減速させてから消える。社会奉仕やな。

でも、実際に皆、事故ってますけど・・・・・・

「でも、注意喚起の仕方が逆効果じゃないですか?」
「急に赤い車がカーブに出てきたら、ビックリして事故りますって」
山田:「……ぐうの音も出ん……」

それは、その、いろいろあるやろ。

でも、減速しない、車もバイクも悪い。

ホレ、見てみ。あいつら。ここで、みんな事故って、ここに住み着いているやるらや。

ザっと、50人くらいやな。はじめに会ったときは、ワシの説教から入る。

親を悲しませることスナってな

 

蝶ネクタイをした中年の幽霊・山田と出会うカスミ。

「赤い車? ワシや。事故らせる気やない。注意喚起や。」

山田は朝里峠歴20年のベテラン幽霊。50人の幽霊を束ねるリーダーだった。

幽霊にも思想がある

ここにいる幽霊たちは、

  • 親切
  • 社会奉仕
  • 親孝行

「呪い」ではなく「願い」を持つ幽霊たちだった。

カスミの提案:音楽で注意喚起を

「音楽使うのはどうですか?」

音楽使うのはどうですか?

「それやったのよ」
と言いながら呼び出されたのは、ラッパー幽霊・MCボンさん(享年39)。

「YO YO…安全運転Yo! 命は一つ Yo!」
…しかし、聞こえるのは完全に“呪文”か“読経”だった。

「頭から『ナンマイダ〜』しか残らんのよ」
山田がため息をつくと、MCボンも頭をかいて「リリックが成仏してもた」と嘆く。

逆に、お経が聴こえるって噂になって、頭かかえてんねん。

確かに・・・・

カスミはピアノだけではなく、声楽も、音大で勉強していたことを山田に言った。

音大?、なんで、お前峠担当やねん。

山田に、閻魔大王から左遷された経緯を話した。

山田:「実はな、オレ、閻魔のやろう大嫌いやねん」
「あいつらな、“幽霊=恐怖”の旧モデルにしがみついてる」
「時代は共存や。現生人ファーストの幽霊運営が必要やねん」

カスミ:「私もそう思います」
「音楽と笑いは、人と幽霊の境界を越える力になる」

山田が50人の幽霊に向かって問いかけた。
「みんなも、現生人と共存して、役立つ幽霊になりたいよな?」

「ハイッ!!」
峠にこだまする声。夜なのに、山が一瞬だけ、明るくなったように見えた。

50人の幽霊たち、楽団になる

カスミの提案で、木琴・空き缶・トライアングルで楽器を作り始める。

演奏曲:「イッツアスモールワールド」

3歳の女の子の幽霊が、毎日鼻歌で歌っていたその曲を、幽霊たちが演奏する。

「音楽は、楽しいだけじゃない。誰かの祈りにもなる」

その夜、初めての演奏が響く

夜の峠に「小さな世界」が流れる。1台の車がゆっくり減速する。

後部座席の女の子が歌い出す。

「ちいさなせーかい〜♪」

その瞬間、3歳の少女の霊が、にっこりと微笑んだ。

最後に響く、夜の「小さな世界」
深夜、峠に響く「It’s a Small World」の優しい旋律。
通りかかった一台の車が、音に気づいてゆっくり減速する。

中には、若い家族。
後部座席で、小さな女の子が歌い出す。

「ちいさなせーかい〜♪」

その瞬間、3歳の少女の霊が、にっこりと笑った。

SNSでの反響と広がり

朝里病院の幽霊インフルエンサーがXとYouTubeで発信開始。

 

🎶 新レパートリー

  • エリーゼのために
  • 小犬のワルツ
  • トルコ行進曲
  • 威風堂々
  • くるみ割り人形
  • ガヴォット

タイトル:「毎日がコンサート──大切な人と聴きたいクラシック5選」

バズった。

峠の変化

スピードを出す車が減った。

なぜ?

カスミ率いる幽霊音楽団の曲が好きだからだ。

なるべく、曲を長く聞いていたい。

そして、助手席の大切な人を、交通事故なというような不慮の事故で亡くしたくないという気持ちだ。

車は危険な乗り物ではない。操作する人間に問題がある。

事故撲滅のために、幽霊音楽団は、今日も、曲を奏でる。

たまには、JPOPも混ぜて・・・・・・・

山田の思い

ここにいる奴らは、皆、自分の葬式にいっている。

親が泣いている姿見て、自分も泣き崩れて、この朝里峠に帰ってくる。

そんな奴らが、呪って、道連れって考えるか?

元気に親元へ帰れって思うやろ?

現生人ファーストなんや

そして、カスミは……

朝里峠のオリジナルの曲を、作曲している

「人を驚かせたら復帰」なんて、もうどうでもよくなった。

あなたも、朝里峠へ

警察の取り締まりより、カスミの音楽のほうが事故を減らしている。

あなたも、朝里峠に行ってみては?

……俺はいかないけどね。ビビりだから。

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