ソダシが届かなかった2400、その続きを──娘に託す

俺は、ソダシを一度も買わなかった。
桜花賞も、札幌記念も、ヴィクトリアマイルも──。

人気しすぎ。
アイドルすぎる。
白毛ってだけで注目されてる。

そんな理由で、いつも敬遠してた。

だけど本音を言うと、
パドックで白毛の馬体を見るたびに、ちょっと息をのんだ。

そして、走るたびに「やっぱりすげぇな」と思ってた。
それでも、馬券を買うことはなかった。

ソダシは、オークスで沈んだ

その時、俺は馬券を買わなかった。
応援も、してなかった。

でも──
あの瞬間、少しだけ胸が痛くなった。

「やっぱり、2400は厳しかったか」
「白毛は華やかだけど、距離は持たないのか」
そんな風に思ってしまった。

でも──数年経って、あるニュースが流れてきた。
俺の中で、また“物語”が動き出した。

アグネスフローラという母馬を、覚えてるか？

4戦4勝、無敗の桜花賞馬。
でも、オークスではエイシンサニーに差されて、2着だった。

──2400の壁に阻まれた、名牝だった。

その血を継いだアグネスフライトが、
2000年、ダービーで1番人気エアシャカールを差し切った。

鞍上は河内洋。
「悲願のダービー」と言われた、あの一戦だ。

母が果たせなかった夢を、
息子が“2400”でちゃんと叶えた。

ソダシの娘が、生まれた。

父はイクイノックス。
母は、白毛のアイドルにして実力派──ソダシ。

なのに、生まれてきた仔馬は、黒鹿毛。

アイドルっぽくない、でも芯の強そうな、キリッとした顔立ち。
写真を見た瞬間、スマホをぎゅっと握り直した

今度こそ、買う。

俺はソダシを買わなかった。
でも、ちょっとだけ後悔してる。

理由つけて、自分の目を信じず、
馬券を握らなかった。

今度の娘は、その“続き”だ。

母が届かなかった2400──
娘がそこを走る日、俺は馬券を握ってる。

けなげに走った白馬のアイドルが、
最強の父の血を受け継いで、東京2400に帰ってくる。

競馬はギャンブルだけじゃない。
こういう物語が、人を動かす。

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まとめ：白毛の物語は、終わっていない

2400メートル。
クラシックの舞台で、血の物語は続いていく。

アグネスフローラからアグネスフライトへ、
そして、ソダシから──黒鹿毛の“彼女”へ。

2027年、もしその日が来たら──
俺は、誰よりもデカい声で叫びたい。

ソダシは、あの若さで、もう「母の顔」をしてた。
アイドルホースだから、ダートも走らされたのかもしれない。
今思えば、ちょっと泣けてくるよな。

ソダシの生涯成績